2019/08/30
7月31日(水)から3泊4日の日程で中学1年生の林間学校が始まりました。朝から照りつける日差しの中、駿台学園の研修施設である一心荘のある北軽井沢方面へ出発。最初の訪問地、群馬県安中市の最高気温は30度を超えていました。
最初の見学地は、碓氷峠鉄道文化むらでした。碓氷峠は群馬県安中市松井田町坂本と長野県北佐久郡軽井沢町との境にある峠であり、標高は約960メートルです。ここに開設されている鉄道資料館では、1893~1997年まで横川~軽井沢間を走行していた旧碓氷線の104年間の歴史について学ぶことができます。また野外展示場・ビュウ広場の前には、旧国鉄時代に活躍した電気機関車や特急の「あさま号」など多くの車両が展示されており、生徒たちは車内を見学したり、豊かな自然や珍しい電車を眺めながら班で弁当を食べました。
私たちの生活から切り離すことのできない鉄道。その鉄道の技術の進歩が日本の社会の発展において果たした役割を学ぶことで、今の時代を考え、私たちの人生の中にどう応用するのか考える機会にしてほしいと思います。
その後、中軽井沢の星野リゾート地域にある軽井沢野鳥の森へ行きました。日本野鳥の会の創設者である中西悟堂によりこの地は「日本三大野鳥生息地」の一つと呼ばれています。この森は1974年に当時の環境庁(現在の環境省の前身)により、日本で初めて国設野鳥の森に指定されました。森の入り口付近には中西悟堂の銅像が建っており、そこでこの野鳥の森のガイドである「ピッキオ」の方々が出迎えてくれました。
この森はクリやミズナラ、カラマツなどが茂っており、多種多様な野鳥を観察することができ、さらにツキノワグマやニホンカモシカ、ムササビなどの多くの野生生物の生息地でもあります。生徒たちはこの「ピッキオ」の方々に案内され、実際にツキノワグマが木を登った跡や、ニホンカモシカが歩いた獣道、リスがかじったクルミの殻や「ピッキオ」の方々が撮影した野生動物の映像を見たり、多様な生物の生息について説明を聞きました。野生動物の映像には、深夜親子で移動する猪の姿などが映っており、普段なかなか見られない姿に生徒たちは興味津々にその映像を見ていました。
また、生徒たちは耳を澄ませて野鳥の鳴き声を聞き、池のほとりでカエルやオタマジャクシを観察しました。都内ではなかなか見ることのできない大自然に触れられたのではないでしょうか。この貴重な経験を夏季休業中に作成するリポートに活かしていってほしいと思います。
その後、北軽井沢にある「くるみの森キャンプ場」に到着。天気はあいにくの雨でしたが、外は涼しく過ごしやすい気候でした。まずは火のおこし方などの説明を受け、班で協力して飯盒炊爨によるカレー作りに挑戦しました。
かまどに火をおこす、具材を切るなど、それぞれの役割に分かれました。野菜の切り方に慣れず苦戦する班や、野菜が硬くなってしまった班もあったようですが、苦労して作ったカレーは格別に美味しかったようです。
8月1日(木)、この日の午前中は、一心荘からバスで30分程の距離にある浅間牧場でオリエンテーリング。浅間牧場は「浅間山北麓ジオパーク」内にあり、標高1300メートルに広がる約800ヘクタールもの広大で自然豊かな牧場です。この牧場は昭和の歌謡曲『丘を越えて』のモデルとなった牧場だそうです。生徒たちは広大な自然と丘から見える浅間山を眺めながら、途中のチェックポイントで出題される林間学校にまつわる問題を、得点などを競い合い楽しみながら解きました。
オリエンテーリングの途中で地元の方や観光で訪れていた方たちに出会うと元気よく挨拶をし、その方たちから笑顔で「頑張ってね」と声をかけていただきました。オリエンテーリングの後はソーセージ作り体験をしました。班で協力しソーセージを作り、それをその場で焼いてバーベキューを楽しみました。
昼食を食べた後は嬬恋村郷土資料館へ移動。嬬恋村郷土資料館では、1783(天明3)年の浅間山噴火によって埋没した鎌原村から発掘された品々が展示され、噴火の被害や当時の生活文化について紹介しています。このときの噴火で、嬬恋村鎌原の集落は全体が埋まってしまいました。その時村で唯一残ったのが、高台にあった鎌原観音堂でした。当時観音堂に50段の石段がありましたが、上から15段を残し土石流に埋もれてしまい、この石段は「天明の生死を分けた15段」として語り継がれています。
生徒たちは館内でボランティアガイドの方から、具体的でわかりやすい説明を聞き、当時の様子を理解していました。その後資料館に隣接する鎌原観音堂で、埋没した石段や犠牲者の名前が彫られた供養碑を見学しました。火山噴火の仕組みや、火山国であり噴火による自然災害を何度も経験してきた日本の人びとの暮らしについて、じっくり考える良い機会になったと思います。
8月2日(金)、いよいよ林間学校も3日目の朝を迎えました。この日の日程は登山。まずはバスで登山口にあたる高峰温泉へ移動。今回の登山ルートは、標高2,000メートルに位置する高峰温泉を出発、標高2,202メートルの水ノ塔山まで一気に登り、その後尾根伝いに標高2,227メートルの東篭ノ塔山へと歩き、さらに池の平湿原におりて、そこから標高2,040メートルの三方ヶ峰に至るというコースです。
最初の高峰温泉から水の塔山へいたる山道は大きな岩の間を登るため、かなり急で生徒たちにとっても大変な登山となりましたが、お互いに声を掛け合い、隊列を乱さず登ることができました。9:30ごろ登り始め、2時間後には東篭ノ塔山の頂上へ到着。頂上からは浅間山や草津白根山などが見え、素晴らしい景色を眺めることができました。
その後、池の平駐車場まで下り、登山の達成感を味わいながら昼食をとりました。昼食後は浅間山麓にある湯の丸高原と高峰高原の間にある池の平湿原を散策。池の平湿原は、浅間山の噴火によってできた湿原で、コマクサ、レンゲツツジ、アヤメなど1,000種類以上もの高山植物を見ることができます。ちょうどこの時期は、湿原一帯が見ごたえある花畑となっており、それを眺めながら木道を散策しました。湿原の真ん中の平坦な木道を進み、最後に坂道を上ると45分程で三方ヶ峰の頂上へ。その後戻ろうとすると急な雨が降り、急いで池の平駐車場へ。雨具を全員が持っていたため、あまり濡れずに無事登山を終えることができました。登山が初めてだった生徒もいたと思いますが、苦労しながら皆で登山をした達成感はなかなか味わえない貴重な経験になったと思います。
一心荘に戻ると、最後の夜のお楽しみ、キャンプファイヤーの準備です。炎を囲んで、班でスタンツをしました。時間をかけて練習してきたスタンツ。上手くいき、楽しいひと時を過ごすことができ、良い思い出となりました。
8月3日(土)、林間学校最終日、一心荘の掃除や荷造りを終え、野菜収穫体験をするためバスで5分程度のところの石田観光農園に向かいました。石田観光農園では、50種類以上の農作物が栽培されており、その作物の収穫体験や採れたての作物を食べることができます。
学級ごとに分かれ、ジャガイモ、ニンジン、キュウリ、トウモロコシ、プラムの収穫を体験し、土産として家庭に持ち帰ることができました。もちろん、トウモロコシやトマト、プラムはその場でも試食。プラムを食べるのは初めてという生徒が多かったようで、その甘さと美味しさに驚いていました。さらに新鮮なトウモロコシは生で食べることも可能で、とても甘く感動しました。農家の方々にお礼を言い、たくさんの野菜が入った袋を大事に抱え、バスに乗り次の目的地へ出発。
最後の見学地は、長野県小諸市にある手打ち蕎麦切り道場「明日香」です。ここは蕎麦の本場長野県でも大人気の老舗蕎麦屋「草笛」が店舗の隣で運営している蕎麦打ち道場です。草笛は、江戸初期の小諸藩主仙石秀久によって伝えられた小諸蕎麦切りの伝統の技法を今日まで守り続けており、それを実際に体験することができます。
まず最初に信州蕎麦の歴史についての説明を聞いた後、蕎麦打ちの実技に入ります。2人一組となって生地をこね、綿棒でのばしていきます。初めての蕎麦打ち体験に苦戦し、最初は生地を上手くのばせない生徒もいましたが、指導は丁寧でわかりやすく、およそ2時間後見事に蕎麦が完成しました。生地を包丁で切る際に少し太くなってしまったペアもあったようですが…。自分たちで打った蕎麦の味はやはり格別だったようで、和気あいあいと美味しい蕎麦の味を堪能しました。
この後は、バスに乗り東京へ。あっという間の3泊4日でした。4月の入学後1泊2日のオリエンテーション合宿がありましたが、あの時は同じ学級同士名前と顔を一致させることで精一杯だったかもしれません。しかし今回の3泊4日という長い林間学校を終え、学級の枠をこえて同じ学年の中でえお互いに仲良くなることができたと思います。2学期には文化祭や英語フェスティヴァルなど、学年の行事が多数あります。良いものを作り上げるようこれからも学年で協力していきたいと思います。