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第50期記念・第593回<駿台天文講座>、<駿台ジュニア天文教室>のお知らせ

2015/08/12

第50期記念・第593回<駿台天文講座>のお知らせ

 

8月15日(土)に、第50期記念・第593回<駿台天文講座>を開催します。今月は、「兵用天文学の展開―「戦場に輝くベガ」に描かれた現実」をテーマに、山梨大学大学院准教授の高橋 智子先生にお話しいただきます。

時を知り進行方向を見定めるために、古代から星が使われました。地図や星図も古代からその存在が知られていますが、時代を経てその範囲と正確さは飛躍的に広く高くなりました。18世紀には天体の位置を予測することは天文学の重要な研究課題ともなり、天体力学に基づく膨大な暦計算の結果として「天文暦」が作成され、それをもとに「航海暦」が刊行されるようになりました。

1911年(明治44年)の国際編暦会議では英仏独米の4か国はそれぞれ暦計算の分担を決め、第一次大戦中もデータの交換は継続されました。前後して、日本の海軍水路部も格的な編暦業務を開始しました。1906年に「航海暦編纂方取調委員会」が組織され、東京帝国大学理学部星学科を1888年に卒業した蘆野敬三郎が「明治四十年海軍航海年表」を刊行したのがその始まりでした。中野徳郎などの「天文学者」たちが編暦課長としてその業務を指揮しましたが、彼らが国際的な分業体制の一翼を担うことはなく、やがて戦時体制に組みこまれていきました。ソロバンが使えるように計算方法を工夫することで、すべての計算を人海戦術でこなせる体制が整えられました。結果として、さらなる人海戦術で海軍航空隊の要求に応じていくことになってしまい、その研究は「兵用天文学」となりました。

2010年の夏、8月6日に、海軍水路部を引き継いだ海上保安庁海洋情報部の建物(築地)の3階倉庫から、偶然に14冊の「高度方位暦」が見つかりました。これによってプラネタリウム番組「戦場に輝くベガ」(山梨県立科学館・2006年)で話題になった「航空暦」が、実際には各海軍基地で見える天体の高度と方位を記したものであることが確認されました。これらの海軍基地とは、昭和19年分では横須賀、父島、南鳥島、ウェーク、サイパン、トラック、パラオ、ラバウル、硫黄島、ダバオ、鹿屋、那覇、南大東島、高雄、沖ノ鳥島、マニラの計16か所で、6月から12月31日分までがほぼ計算されていました。昭和20年分には木更津、硫黄島、鹿屋、那覇の4か所の基地のデータが記載されています。

最終的には、それぞれの基地について、毎日24時間を20分毎に、適当な3つの天体の高度と方位を記し、3日分を1頁に収める形で編集されていました。理論的には、帰投するパイロットがその時間にその基地で3つの星がどう見えるのかを調べ、その値を実際に観測した値と比べることで、正しい飛行方向を判断できたのです。従って機上ではほとんど計算することなく基地への帰投を可能にしたことになり、戦後の1969年に当時の編暦課長の進士晃は高度方位暦を回顧して「天体航法用の暦の究極的な形として、諸外国で高く評価されている」としています。

今年は、戦後70年であり、奇しくも今回の<駿台天文講座>は8月15日に行われますが、星の座標が、そして天文学が軍事目的に使われていた時代についての講演となります。ある意味で時宜にかなった講演かと思いますが、お誘い合わせの上参加いただければと思います。なお、「戦場に輝くベガ」関連のビデオを講演の前後に放映いたしますので、併せてご案内します。

また、晴天の場合は、駿台天文講演終了後、本校屋上の口径20cm屈折望遠鏡(ニコン製)による天体観望会を開催しますが、夏季は、日没が遅いためにお待ち願いますので、ご了承ください。

 

<駿台ジュニア天文教室>のお知らせ

講師の都合で、今月はお休みいたします。悪しからずご了解ください。

 

 

 ●<第593回駿台天文講座>

  日 時:平成27年8月15日(土)17:00~18:00

  場 所:駿台学園小ホール

  講 師:山梨大学大学院准教授 高橋 智子先生

  題 目:「兵用天文学の展開―「戦場に輝くベガ」に描かれた現実」

      ※講演の前後に「戦場に輝くベガ」のビデオを放映します。

 ●入場料:無 料

  (予約は必要ありませんので、直接駿台学園へお越しください。)

   所在地:東京都北区王子6-1-10(電話 03-3913-5735)

   最寄駅:JR・地下鉄・都電 王子駅下車 徒歩10分

 

 

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