その他
●第25回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
日 時: 2025年7月12日(土) 15:00~16:30
講 師: 三谷 博 先生 (東京大学名誉教授)
演 題: 『比較史上の明治維新』
<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>、2025年度第4回、通算25回の講座を7月12日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回の対象は近代で、テーマは『比較史上の明治維新』、講師は三谷博先生(東京大学名誉教授)です。
明治時代は、日本史の中でもこの30年間で最も大胆に書き替えられた時期かもしれません。維新の英傑たちが活躍し全くの新時代を築いていくイメージから、幕末との連続性を強調する視点への転換は、中でも最重要な要素の一つでした。従来の時代小説のヒーローたちにかわり、橋本左内や横井小楠といった人たちが注目され、木戸や大久保ら維新の三傑も、かつてとは異なる相貌を見せるようになってきました。
今回は、この30年間、学説の刷新の牽引役として先頭を走ってこられた三谷博先生に、明治維新とはいかなる変革だったのか、世界各地との比較の観点からお話して頂く予定です。廃藩置県や秩禄処分のような武士の長年の特権の剥奪が、あっという間にしかもほぼ無血で可能であったのは何故か等々、維新史の特性の掘り下げのお話になるかと思いますので、ふるってご参加頂ければと思います。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。
- 講演要旨(講師から頂いたものをそのまま掲載しています)
日本史上の一事件を世界史の中に置いてみたらどのように見えてくるだろうか。最近開いてきた革命比較研究会の成果をもとに紹介してみたい。
明治維新の理解は、拙著『維新史再考』(2017年)の刊行によりかなりの変化を見た。中堅研究者の編集した通史、清水唯一郎・瀧井一博・村井良太『日本政治史』(有斐閣、2020年)が指摘するように、戦後日本を代表する遠山茂樹『明治維新』(岩波書店、1951年)が維新を長州を始めとする尊攘派中心に書いてきたのに対し、大大名による「公議」運動に焦点を当て、それを現在のリベラル・デモクラシーの源流として位置づけたのである。
その後、私は維新を17世紀のイギリスから20世紀のイランまで7つの近代革命と比較する国際研究会を立ち上げた。その主題は言論と暴力の関係であったが、その結果、維新の犠牲者が極端に少なかったことが判明した。近世を支配した武士を総解雇した大規模な階級革命であったにもかかわらず、その死者は約3.5万人で、他の革命より2ないし3桁少なかったのである。なぜ、そんな不思議なことが可能だったのか。そこから世界の近代史を見直せないか。西洋の学者と同じく、自国の歴史から出発して、人類共通の道を探すことはできないだろうか。そんな努力の一端を紹介し、聴講される方々と議論してみたい。
- 三谷 博 先生 略歴
1950年 広島県福山市生まれ
72年 東京大学文学部国史学専修課程卒
78年 同大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位取得退学、同文学部助手
79年 学習院女子短期大学専任講師、82年同助教授。88年東京大学教養学部助教授、95年同教授、
96年 同総合文化研究科地域文化研究専攻教授
2015年 同定年退官、名誉教授、跡見学園女子大学教授(21年まで)
18年 公益財団法人東洋文庫研究員 文学博士(東京大学)
- 主な著書等
<単著>
『明治維新とナショナリズム 幕末の外交と政治変動』 山川出版社 1997年
『明治維新を考える』 有志舎 2006年 岩波現代文庫 2012年
『愛国・革命・民主 日本史から世界を考える』 筑摩選書 2013年
『維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ』 NHKブックス 2017年
『日本史のなかの「普遍」 比較から考える「明治維新」』 東京大学出版会 2020年
『日本史からの問い 比較革命史への道』 白水社 2020年
『民主化への道はどう開かれたか : 近代日本の場合』 清水書院 2024年
<共著・共編ほか>
『東アジアの公論形成』 東京大学出版会 2004年
『国境を越える歴史認識 日中対話の試み』(劉傑・楊大慶と共編) 東京大学出版会 2006年
『歴史教科書問題 第6巻』 日本図書センター 2007年
『大人のための近現代史19世紀編』(並木頼寿・月脚達彦と共編) 東京大学出版会 2009年
『琉球からみた世界史』(村井章介と共編)山川出版社 2011年
『響き合う東アジア史』(張翔・朴薫と共編) 東京大学出版会 2019年
◎<第25回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校 □後 援:森上教育研究所
JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分
【講演のお申込み方法】 事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。
◆形 式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom) ◆定 員:対面30名+オンライン ◆締 切:7月10日(木)23:59 ◆参加費:無料 ◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
【お問い合わせ先】 ◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。 電話:03-3913-5735 email:history@sundaigakuen.ac.jp 担当 平瀬 |
◎2025年度のこの後の予定