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●第29回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
日 時: 2025年12月13日(土) 15:00~16:30
講 師: 差波 亜紀子 先生 (日本女子大学文学部教授)
演 題: 『戦前日本における女性向け科学技術教育-蚕糸業教育を中心に―』
<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>、2025年度第8回、通算第29回の講座を12月13日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回の対象は近現代で、テーマは『戦前日本における女性向け科学技術教育-蚕糸業教育を中心に―』、講師は差波亜紀子先生(日本女子大学教授)です。
幕末から昭和戦前期にかけて、生糸や絹織物は日本の花形輸出品として外貨獲得に貢献しました。そして養蚕や製糸、あるいは絹織物産業の現場を支えたのは多数の女工たちであり、彼女らの多くは非常に年少で、時としてかなり劣悪な環境・条件の下での就業を余儀なくされていました。一方で、伝統的な価値観を持つ人たちは女性の社会進出について否定的で、女性は家庭にいるべきだという人は多数いたと考えられます。しかし、女性の自立を目指す立場からすれば、女性の就業機会を増やすことは重要なことでした。今回は、このあたりの一種の相克についてもふれ、女性史と産業史を結びつける講座になるかと思いますので、ふるってご参加頂ければと思います。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。なお、今回は、会場参加者には抽選で講師の著書を進呈いたします。
- 講演要旨(講師から頂いたものをそのまま掲載しています)
戦前の日本における女性向け科学技術教育は、これまであまり盛んだったと考えられてはきませんでした。しかし当時の日本にとって重要な輸出品であった生糸、および原料繭などを扱う蚕糸業分野では、国が定めた資格を持つ「女子蚕病予防吏員」など、専門知識を持つ女性の育成が全国各地で行われていました。もっとも、女性のあるべき場所は家庭だという考え方も、当時は根強く存在しており、それを妨げるような就学や長期の就業が歓迎されたわけではありません。そんななか明治35年、国は製糸業の専門教育機関として東京蚕業講習所に製糸講習科を新設し、男性技術者とともに製糸教婦の養成を始めました。本講演では「製糸教婦科」を中心に、女性向けの蚕糸業専門教育をめぐる議論や、就学者の傾向、卒業後の就業状況などを紹介しつつ、女性の科学技術教育について考えます。
- 差波 亜紀子 先生 略歴
1989年 東京大学文学部国史学専修課程卒
93年 日本学術振興会特別奨励研究員
96年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位修得済退学、同研究生
97年 同社会科学研究所助手
2022年4月 – 現在日本女子大学, 文学部 史学科, 教授
博士(文学・東京大学)
2020 第15回平塚らいてう賞特別
- 主な著書等
<単著>
『平塚らいてう―信じる道を歩み続けた婦人運動家―』山川出版社 2019年
<共著・共編ほか>
『商人と流通』山川出版社 1992年
『産業革命』吉川弘文館 1994年
『桶と樽―脇役の日本史―』法政大学出版局 2000年
『歴史と風土‐南部の地域形成』雄山閣 2004年
『富岡製糸場女性労働環境等研究委員会報告書』富岡市 2020年
『成瀬仁蔵と日本女子大学校の時代』日本経済評論社 2021年
『東京10大学の150年史』筑摩書房 2023年
『思想史講義 明治編Ⅱ』ちくま新書 2023年
『日本史の現在5 近現代➀』山川出版社 2024年
◎<第29回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校 □後 援:森上教育研究所
JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分
【講演のお申込み方法】 事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。 ◆形 式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom) ◆定 員:対面30名+オンライン ◆締 切:12月11日(木)23:59 ◆参加費:無料 ◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
【お問い合わせ先】 ◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。 電話:03-3913-5735 email:history@edu-sundaigakuen.jp 担当 平瀬・松井 |
◎2025年度のこの後の予定






